去る5月23日に東宝株式会社の株主総会に出席してまいりました。
第130期(2018年3月1日~2019年2月28日)は増収減益とのことでした。
減益は一時的要因の影響であり業績はまずまず好調のようです。
株価も今のところ堅調です。
ところで、この東宝の事業報告書を詳しくチェックしてみたところ会社の意外な一面が見えてきました。
今回はセグメント別に業績をチェックする方法をご紹介します。
セグメントとは?
セグメント(segment)とは「断片」「部分」を意味する英単語です。
経営や会計の分野では財務状況を企業内の「事業別」「部門別」「地域別」などのセグメントに分け、それらの詳細情報を開示しています。
東宝の場合「事業別セグメント」ですので、これを詳しく見ていきましょう。
まず東宝では会社全体を以下のセグメントに分けています。
映画事業、演劇事業、不動産事業、その他事業の4つのセグメントです。
【映画事業】
【演劇事業】
【不動産事業】
日比谷シャンテ
新宿東宝ビル
博多STビルなど
各セグメントの営業収入(売上高)と営業利益
それでは各セグメントごとの数字をチェックしていきましょう。
各セグメントの営業収入(売上高)の内訳(会社全体の売上高に占める割合)は以下のとおりです。
いかがでしょうか?
筆者は少し驚きました。
イメージ的になんとなくですが、売上のほとんど(90%以上)が映画事業だろうと思っていたからです。
想像以上に不動産事業の割合が大きいのですね!
では次に営業利益の内訳です。
映画事業の比率がさらに下がり5割をやっと超える程度です。
反対に不動産事業が全体の36%を占めるまでに至っています。
これからの東宝
最後に各セグメントごとの売上高、営業利益、営業利益率をまとめてみました。
営業利益率(収益性を示す指標)に注目してください。
(▶営業利益率から企業の稼ぐ力を見る|ドラッグストア編))
映画事業、演劇事業ともに10%台後半で充分に高い数値なのですが、不動産事業はさらにその上をいく26.7%です。
東宝にとって不動産事業を伸ばしていくことが会社の利益増に直結するということがお分かりいただけると思います。
ヒット作品の有無によって業績がアップダウンする「水物」の映画事業より、着実に利益を上げてくれて利益率も高い不動産事業。
そんな不動産事業に経営陣が注力・傾斜していってもおかしくないと筆者は予想します。
現在の東宝は売上高、営業利益とも映画事業がトップであり文字どおり会社の柱であることに間違いありません。
しかし不動産事業は毎年着実に伸びており、今後数年で映画事業を追い抜くことは時間の問題ではないかとも思われます。
「東宝は映画会社ではなく不動産会社」
そういわれる日が来るのも遠くない未来かもしれませんね。
このように業績をチェックする際、会社全体だけではなくセグメントごとに区切ってチェックしてみるのも面白いでしょう。
会社のいろいろな側面が見えてきます。
ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!
まとめ
- 会社の業績をセグメントごとにチェックしてみよう
- 東宝の映画事業は会社の柱である
- 東宝の不動産事業は売上・利益とも毎年着実に伸長している
編集後記
残念ながら東宝の株主総会ではお土産の配布はありませんでした。
同日に開催されたJフロントリテイリング(大丸松坂屋)、オンワードホールディングスもお土産の配布はありませんでした。
これから株主総会シーズンです。
お土産目当てで行かれる方は、行ってからガッカリしないよう事前にしっかりチェックしておきましょう!
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