2019年6月26日開催のTAC株式会社の第36回定時株主総会に出席しました。
総会では受講者数の推移についての説明がありましたが、資格試験の専門学校運営大手の一角であるTACの開示するデータは貴重です。
この最新データから各資格試験の人気が足元でどのように推移しているかをチェックしてみましょう!
TACの業績
本題から少し逸れますが、今期(2019年3月期)のTACの業績は減収減益でした。
売上高については前期比2.3%減、営業利益に至っては前期比59.1%減とかなり厳しい数字です。
減収減益の原因として社長が指摘されていたのが、TACにとって最大の稼ぎ頭である公務員講座が低調に推移したという理由です。
なぜ公務員講座がこの一年低調だったのか?
その理由は人手不足です。
就職市場が売り手市場となり、民間への就職状況が概ね良好であった結果として公務員講座に通う人が減ったのです。
下表をご覧ください。
公務員講座の受講者数が前期比で6.1%も減っていますね。
(TACの開示資料をもとに筆者がグラフ化したもの。2019年3月期における年間受講者数が2018年3月期の年間受講者数に比べて何%変動したかを表しています。以下同じ)
最近の人気資格はコレ!
それではこの表から受講者数が大きく増えている資格をチェックしてみましょう。
- 建築士(前期比25.5%増)
- マンション管理士(同14.8%増)
- FP(ファイナンシャルプランナー)(同11.7%増)
の3つが目を引きます。
特に不動産に関する資格が人気ですね。
マンション管理士については近年マンションに住む世帯が増加していることが背景にあるのでしょうか。
鑑定士も不動産に関わる仕事です。
将来への不安から不動産投資を検討したり開始したりする方が多くなっていること。
相続対策として不動産が活用されていること。
こういったことから不動産関連の資格に対する関心が高まっている可能性が考えられます。
また、ファイナンシャルプランナーについては生活に密着した資格であることが人気の理由でしょうか。
FPの知識を身に付けることは実生活にも役立ちますよね。
その辺りも考慮して皆さん勉強に取り組んでおられるのかもしれませんね。
税理士の受講者数減少に歯止めを!
さて、筆者が特に取り上げたいと思うのがやはり税理士です。
前期比6.9%減です。
弁護士(同22.9%減)や司法書士(同15.4減)ほどではありませんが減少していることに変わりありません。
長期的に見れば2010年から8年連続減少ということです。
受講者数の減少に歯止めが掛かっていません。
なぜ税理士試験の受講者数が減り続けているのでしょうか?
さまざまな理由が考えられますが、そのひとつに本試験の出題内容があるように思います。
筆者は以前から試験のあり方に疑問を感じていました。
試験委員の自己満足ともいえるような専門的で奇抜な出題内容。
「頑張った人ほど確実に合格できる試験」からは程遠い出題内容。
こんなことを続けていれば受験者が減るのは当然…と当時から感じていました。
試験委員を務められている実績豊富で高尚な先生方に対し、若輩者の私がこのようなことを申し上げるのは身の程知らずの極みです。
しかし努力が正当に報われる試験内容に改善していただきたい、ということだけは心から願うところです。
最後になりましたが、筆者は租税教室を通じてこの問題(税理士の受講者数減少)に貢献していきたいと思います。
子どもたちに税理士の仕事の魅力を知ってもらい、「将来は税理士になりたい!」と思ってくれる人が一人でも出てきてくれますように!
まとめ
- TACの資料によれば、受講者数が増加している資格は「建築士」「マンション管理士」「FP」等である
- 税理士の受講者数は前期比6.9%減少している
- 税理士の受講者数は8年連続で減少している
編集後記
税理士会支部からさっそく租税教室のオファー(補助講師)を3日間いただきました (^-^)
今回は中学校。
前回(小学校)との授業内容の違いもしっかり勉強させていただきます!
フリーランス(個人事業主)
会社員
年金受給者
の皆さまを対象に、税務会計全般のサービスを行っております。
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