決算書類としてよく目にするのが貸借対照表と損益計算書。
損益計算書は何となく理解できても、貸借対照表をどのように理解し、特にどこに注意をして見れば良いか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は貸借対照表について最優先でチェックしてほしいポイントを、ひとつに絞って解説したいと思います。
貸借対照表の詳しい解説はまた後日あらためて!
貸借対照表の右下に注目!
例えば、次の貸借対照表を見たとき、
みなさんはまずどこに着目しますか?
「現金と預金が1億7千万円もある!すごい金持ちの会社だな!」
…正解です!
多少簿記の知識のある方なら、
「会社規模の割に借入金が少ない!流動資産が流動負債よりも1億円多いし、当面の資金繰りに問題はないな!」あるいは
「利益剰余金が1億3千万円もある!今までしっかりと利益を上げてきた会社なんだな!」と思われるかもしれません。
…両方とも正解です!
たしかに間違いではありません。
しかし、ほんの少しだけ残念賞です。
実はそれよりも何よりも、真っ先に見てほしい項目があるのです。
それが「自己資本比率」というものです。
自己資本比率とは?
私が貸借対照表を確認する場合、まずは何よりも右下の2つの数字を確認します。
①「純資産の部合計」
②「負債及び純資産合計」
のふたつです。
このふたつを把握できたら、①÷②×100で「自己資本比率」を計算してみます。
つまり、①を分子に、②を分母にして計算した値に、100を掛ける(パーセントにする)だけです。
これが自己資本比率です。
上表の場合、自己資本比率は
151,518,371 ÷ 302,564,660 × 100 = 50% ということになります。
平たく言うと、
純資産は返済する必要のないお金(自分のお金のこと)…①
負債は返済しなきゃいけないお金(他人のお金のこと)
負債+純資産はその合計(すべてのお金のこと)…②
(①は、厳密には株主が出資したお金と過年度利益の蓄積したお金などの合計です)
自己資本比率の意味するところは、②に占める①の割合ですから、「すべてのお金」に対する「自分のお金」の割合。
自分のお金の割合が高ければ、その会社の経営は安全だと言えますし、自分のお金の割合が低ければ、その会社は危険な状態にあると言えます。
つまり、基本的には自己資本比率は高いほうが好ましい、ということになります。
だったら何%以上なら良いの?という疑問が湧いてきますが、一般的には30%以上であれば、経営の安定性に問題はないと言われています。
ただし、業種ごとに理想的な自己資本比率は変わるため、注意が必要です。
自動車メーカーの「自己資本比率」を比較してみる
例えば、大手自動車メーカーの自己資本比率は大体どのくらいの数値なのでしょう?
筆者がヤフーファイナンスの企業情報から、直近の決算の貸借対照表(連結)を調査してみたところ、以下のとおりとなりました。
トヨタ 38.2%
日産 28.7%
ホンダ 41.0%
スバル 53.8%
マツダ 43.7%
いかがでしょうか?
同じ業種でも、最も率の高いスバルと、最も低い日産では2倍近くの差があります。
自己資本比率は高ければ高いほど良いという単純なものではありませんが、ひとまずは「スバルは安全な経営をしている」「日産は負債を増やし、リスクを取った攻めの経営をしている」という仮説が成り立つのではないでしょうか。
まとめ
- 貸借対照表を見たら、まずは自己資本比率をチェックしよう
- 自己資本比率は、「すべてのお金」に対する「自分のお金」の割合
- 自社の自己資本比率と、同じ業界のライバル会社の自己資本比率を比べてみよう
編集後記
桜が少しずつ咲きはじめていますね!
府中では、大國魂神社のしだれ桜が見頃を迎えてキレイです。
今日は市役所にて各種手続きと、ブログの執筆。
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